モーツァルトの領域Vol.4〈旅は道づれ〉

モーツァルトが駆け抜けた18世紀後半、音楽はまるで羽が生えているかのように、生き生きと飛翔していました。彼はその短い人生で何度も長期旅行し、ヨーロッパを南はイタリアから北はイギリスまで各国各都市を丹念に歩き回って、各地の音楽を、全身で呼吸したのでした。

モーツァルトの人生の最初の25年、ヨーロッパ中でピアノといえば、それはジルバーマン型のピアノでした。そして、彼の円熟期、最後の10年間に、彼がウィーンで愛用したのがワルター製ピアノだったのです。

本コンサートでは、その二つのピアノを使って、モーツァルトが主にその旅行中、さまざまな出会いの真っただ中で書いた名曲、そして、彼が直接間接に大きな影響を受けたバッハ家の先輩たちの名作、さらには、鍵盤独奏曲だけでなく、ヴァイオリンとのアンサンブル作品をも合わせて、ちょっと贅沢な時間と空間を、心ゆくまでお楽しみください！

使用フォルテピアノ：

2007年深町研太製作＝武久源造改修、モデル：ジルバーマン1747年ポツダム

1988年キース・ヒル製作＝武久源造改修、モデル：アントン・ヴァルター1795年ウィーン

【Program】

W.A.モーツァルト　
ネーデルラントの歌「ヴィレム・ファン・ナッサウ」による７つの変奏曲　ニ長調　K.25

ヴァイオリンとクラヴィーアのためのハーグ・ソナタ集より、ヘ長調　K.30

C.P.E.バッハ　
クラヴィーアソナタ　イ長調　Wq.55 /4 （H.186）

J.C.Bach
クラヴィーアソナタ　ハ短調　Op.5-6

W.A.モーツァルト　
「ジュリーの眠れるリゾン」による9つのクラヴィーア変奏曲　ハ長調　K.264

クラヴィーアソナタ　イ短調　K.310

ヴァイオリンとクラヴィーアのためのソナタ　ニ長調　K306

演奏：武久源造（Pf.）幡谷幸子（Pf.）硲美穂子（Vn.）